アパート建築と建物名義
 

土地所有者にとって相続対策とアパートマンション建築などの土地活用は密接な関係があるのはご承知のことと思います。今回は土地活用の前に知っておきたいヒントを相続税の観点から解説いたします。


◆1.土地活用と相続対策の関係
アパートを建築することにより相続対策になるということをよく耳にします。しかし一口に相続対策といってもさまざまな対策があり、アパート建築が相続対策上どのような効果があるのか本当に理解している人は少ないのが現実です。
相続対策には以下に掲げる4つの柱がありますが、アパートを建築することによる「相続対策」とは、評価の引下げにウエイトを置いた対策です。
これは、建物を人に賃貸することによって制約を受けるため、相続税の財産評価をする際に土地及び建物の相続税評価額から一定額を減額することができるからです。しかし、相続税の納税という観点で考えるとアパートの土地・建物は、管理上の問題から物納が認められづらく、更に借入金によりアパートを建築している場合には売却しても、借入金の返済に充当され納税が困難となる場合が多く見受けられます。


したがって、万一、相続が発生した場合の納税財源が足りないことが明らかである場合は賃貸アパートを建築することにより相続税の納税に苦慮することが想定されます。このような場合は相続税の納税という観点からアパート建築は好ましくないといえるでしょう。

万一のときに相続税がかかるであろう方における相続対策の優先順位は第一に納税財源を確保することです。まずは全体財産の中から納税財源(売却あるいは物納用不動産)の確保が可能であるかどうかを把握したのちに納税財源以外の不動産をいかに有効活用するか検討すべきです。

◆2.土地活用と建物名義
遊休地にアパートマンションを建築する場合、誰の名義で建築するか(誰が建築資金を出すか)が重要なポイントとなります。建物名義によって、相続税に与える影響が異なります。いくつかのケースにそってポイントを解説いたします。

●ケース1(親の土地に親名義のアパートを建築する場合)

この場合、親の相続税評価額は土地については貸家建付地の評価減により更地評価(自用地)から約20%減額、建物は固定資産税評価額(建築価格の約60%)から貸家による評価減(約30%減額)が受けられますので建築価格から約60%減額されることになり、相続税評価額は大きく引き下げることが可能となります。反面、賃料収入は親の所得となりますので時間経過とともに親の相続財産は増加していきます。

●ケース2(親の土地に子供名義のアパートを建築する場合)

この場合、親の相続税評価額は土地については貸家建付地の評価減の適用が受けられませんので、土地は更地評価(自用地)としての評価になります。しかし、建物は子供名義ですので賃料収入はすべて子供の所得となり、子供の財産形成に加え将来の相続税の納税財源にもなります。

*この場合、あくまで使用貸借とし、親に地代を支払わない事が前提となります。


以上のように建物の名義によって相続税にあたえる影響は非常に大きくなります。また、前提条件によっては効果が変わる事もありますのでそれぞれの資産状況、目的に応じて、実行する際は必ず税理士などの専門家と相談してください。