不動産競売のしくみと取得方法
 

競売とは債権者(抵当権者等)が債務不履行状態(お金を返してもらえなくなった状態)になった債権を回収するための法的手続きであり、債権者(抵当権者等)の申し立てにより裁判所を通じて、その担保の目的となっている不動産を強制的に処分(売却)する法的手続きです。競売不動産は誰でも裁判所の定める方法によって買受けることができます。
一般の不動産と比較すると非常に安いと言われていますが本当にそうなのでしょうか。 

◆ポイント
  1.競売のしくみ
  2.競売手続きの流れとポイント
7)所有権移転登記

◆1.競売のしくみ

◆2.競売手続きの流れとポイント

1)公告

競売の対象となる不動産の概要、入札期間、最低売却価格等が公表され、物件の調査資料が裁判所に備えつけられます。

2)物件資料の公開

公告から入札開始まで(東京地方裁判所は通常、入札開始の2週間前から)の間、裁判所では物件の概要を記した書類が閲覧可能となります。この書類には、下記のものがあり、原則一物件ごとに一つの書類が備え付けられています 。

1)物件明細書・・・・・・・ 対象物件についての裁判所による調査結果が記載されている。買受人が引継ぐ権利等(賃借権など)が記載されており、最も重要な書類である。
2)不動産評価書・・・・・ 対象物件の評価額を記載したものであり、最低売却価格算出の根拠となる。また、都市計画などの規制や対象物件の利用状況などが記載されている。
3)現況調査報告書・・・ 裁判官による関係人の事情聴取および、現地調査の結果や賃貸人がいる場合の権利関係、裁判官の意見等が記載されている。

3)入札開始

入札に参加する場合、事前に対象物件の最低売却価格の20%相当額の保証金を裁判所の指定口座に振り込む必要があります。その上で所定の書類を揃え、入札期間内に裁判所へ持参あるいは郵送します。

■必要書類 ・入札書
・入札保管金振込み証明書
・3ヶ月以内の資格証明書あるいは、商業登記簿謄本(法人が入札する場合)
・3ヶ月以内の住民票(個人が入札する場合)
・代理委任状(代理人が入札する場合)

4)開札・売却許可決定

あらかじめ公告で指定された日時、場所で公開による開札が行われます。ここで最高の入札価格をつけた入札人に「最高価買受申出人」と決定した旨が告げられます。同時に「次順位買受申出人」(2番目に高い金額で入札した人)も該当者がいる場合、その入札者の名も告げられることとなります。
この「次順位買受申出人」とは言わば次点のようなもので、「最高価買受申出人」が期日までに代金の支払がなかった場合など売却不許可になった場合に、その物件を買受けることができる人のことです。

5)代金納付期限の通知

開札期日より一定期間後、正式に売却許可がおります。その間執行抗告(クレームのようなもの)がなければ代金納付通知書が落札者に送付されてきます。

6)代金納付 7)所有権移転登記 

期限内に代金納付が完了すると、裁判所は法務局に嘱託登記を依頼し、受託法務局は所有権の移転登記と抵当権・賃借権等の抹消登記を行います。その後約2週間程度で権利証が買受人(落札者)に送付されます。
(*管轄の裁判所により手続きの流れが若干異なります。)

8)占有者排除

落札した物件に占有者がいる場合、その占有者が排除可能な占有者なのか、不可能な占有者なのか、あらかじめ調査しておく必要があります。占有者が法的に排除可能か不可能かは入札前に裁判所に備え付けられている「物件明細書」に記載されています。落札者が引継がなければいけない権利の主なものには以下のようなものがあります。

1)先順位賃借権・・・・・ 抵当権設定以前に設定された賃借権のことをいう。例えば、抵当権設定以前に賃貸借契約を締結していた賃借人は、競売により所有者が変更しても借地借家法の適用により、契約期間が満了しても更新が可能である。
2)短期賃借権・・・・・・・
(注)
抵当権設定から競売開始決定に基づく差し押さえ登記前に設定された賃借権で、民法で定められた期間内(土地は5年・建物は3年)賃借人は保護される。期間満了後、新所有者(落札者)に明渡しを求められた場合、賃借人は明渡さねばならない。

(注) 平成15年7月25日「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」が成立し、抵当権に後れる賃貸借は、その期間の長短にかかわらず、抵当権者及び競売における買受人に対抗することができないようになりました。抵当権に後れる賃借人は、原則として建物の競売により、その所有権が買受人に移転した時から6ヶ月間の明渡猶予期間中に買受人に対して明け渡しをしなければならなくなりました。
2004年4月を目処に施行される予定です。

不法または保護されないな占有者がいる場合、物件の明渡しを求める法的手段は任意交渉の他に以下の方法があります。

1)引渡命令・・・・・ 引渡命令とは不動産競売に認められた簡易・迅速な占有者排除の手段である。占有者に対して引渡命令が出るかどうかは裁判所備付の「物件明細書」に記載される。
2)明渡訴訟・・・・・ 明渡訴訟とは通常の民事訴訟を提起して、裁判所の判決を得て、明渡しの強制執行を行う手続きである。引渡命令に比べて時間と費用がかかる。

9)価格について

競売不動産の価格はもともと卸値で設定されているため、通常の不動産より最低入札価格の設定は安くなります。
さらに、占有者がいる場合、賃借人がいる場合などは排除のリスク等も加味されて更に価格は安く設定されます。